星空を奪う街明かり-光害ドキュメンタリー映画「The City Dark」
2012-07-27 16:32 (12 years ago)
2012.7.20 Voice of America
City Lights Outshine Stars, Obscure Night Sky
我々の祖先が見ていた満天の星空は、現代人の視界から消えつつある。世界中のいたるところで、大量の人工光が新たな都市公害となり、星空は見えなくなり、望遠鏡は役立たなくなり、人類の健康や生態系までをも脅かしている。
失われていく星空が、Ian Cheneyによるドキュメンタリー映画「The City Dark」のテーマである。Cheneyは言う。「この映画は、とても単純な疑問から始まります。夜を、暗闇を、夜空を失ったとき、一体我々は何を失うのか?」
子供時代は田舎で星を眺めながら過ごし、その後ニューヨークに移り住んで星空を失った彼にとって、これは個人的な疑問であると同時に、グローバルな疑問であった。「今、世界中の多くの子供は、天の川を見ることなく成長している。我々の銀河にある無数の星の集まりであり、太陽もその一つに過ぎない、天の川を。」「これが何を意味するのか、科学者・詩人・哲学者の数が減るのか、将来我々は知ることになるでしょう。私は、美しい夜空から得ることができるインスピレーションには終わりがないと確信しています。」
インスピレーションだけでなく、天文学者達は宇宙の起源に関する科学的な知見を夜空から拾い集めている。しかし、大都市では直接観測はほとんど不可能になっている。街明かりが大気中で散乱して夜空が明るくなり、10数個の星しか見えなくなっているからだ。映画の中で、天文学者Irving Robbins氏は述べている。「夜空は本当に美しい、絵画のようだ。しかし今、人間がやってきて全てを消してしまった。ほんの数個の点を残して。それが光害だ。」
人間が人工光を好むのは当然だ。数十万年の間、夜間の活動や安全性は、たいまつの火だけが頼りだった。1800年代前半にガス灯が発明され、通りを明るく照らし犯罪を減らすのに役立った。1800年代後半には白熱電球が発明され、永久に照らされた都市が出来上がった。
「もし人工光が何も必要な部分を照らさず、その代わり寝室の窓や夜空を照らしたなら、それは全くエネルギーの無駄です。そのエネルギーを作り出すために、化石燃料が浪費されているのです。」Cheneyは、屋外照明にカサをつけて道路だけを照らすようにすることは、簡単で有効な方法だと考えている。
街明かりは人間にとって居場所を照らしてくれるものだが、人間以外の動物にとっては、道を迷わせる原因になっていることがある。たとえば、渡り鳥の脳には、渡りの方角の手掛かりとなる星の配置が刻みこまれていると言われている。しかし都市の上空を飛ぶ際、彼らはしばしば街明かりによって混乱に陥る。動物学者David Willard氏は言う。「彼らはガラスに映った光を見て、ガラスに突っ込み、激しい衝突で命を落とす。年間10億羽が死んでいるとの推計もある。」
過剰な人工光は、人間の体内のサーカディアンリズムにも影響を及ぼす。疫学者Richard Stevens氏によると、工業化途上国における乳がんの罹患率の上昇と、夜間人工光の下でのシフトワークに従事する女性の数には、関連性を示す証拠が存在する。「数年前、世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関は、夜間シフトワークをほぼ確実な発ガン要因であると発表している。」
照明業界は、自然光に似た照明器具の需要の高まりに対応している。また世界中で、夜空を守り、光害を最小限に抑えるための努力が続けられている。Cheneyは、夜空が守られることに希望を抱いている。「街明かりは快適で、美しい。街明かりと星空が共存できる方法を見つけなければならない。」
http://www.voanews.com/content/city-lights-outshine-stars-obscuring-night-sky/1441908.html
The City Darkウェブサイト
http://www.thecitydark.com/
The City Dark日本公開イベント(エッセンシャルライトジャパンプロジェクト)
http://essentiallight.jp/thecitydark/
City Lights Outshine Stars, Obscure Night Sky
我々の祖先が見ていた満天の星空は、現代人の視界から消えつつある。世界中のいたるところで、大量の人工光が新たな都市公害となり、星空は見えなくなり、望遠鏡は役立たなくなり、人類の健康や生態系までをも脅かしている。
失われていく星空が、Ian Cheneyによるドキュメンタリー映画「The City Dark」のテーマである。Cheneyは言う。「この映画は、とても単純な疑問から始まります。夜を、暗闇を、夜空を失ったとき、一体我々は何を失うのか?」
子供時代は田舎で星を眺めながら過ごし、その後ニューヨークに移り住んで星空を失った彼にとって、これは個人的な疑問であると同時に、グローバルな疑問であった。「今、世界中の多くの子供は、天の川を見ることなく成長している。我々の銀河にある無数の星の集まりであり、太陽もその一つに過ぎない、天の川を。」「これが何を意味するのか、科学者・詩人・哲学者の数が減るのか、将来我々は知ることになるでしょう。私は、美しい夜空から得ることができるインスピレーションには終わりがないと確信しています。」
インスピレーションだけでなく、天文学者達は宇宙の起源に関する科学的な知見を夜空から拾い集めている。しかし、大都市では直接観測はほとんど不可能になっている。街明かりが大気中で散乱して夜空が明るくなり、10数個の星しか見えなくなっているからだ。映画の中で、天文学者Irving Robbins氏は述べている。「夜空は本当に美しい、絵画のようだ。しかし今、人間がやってきて全てを消してしまった。ほんの数個の点を残して。それが光害だ。」
人間が人工光を好むのは当然だ。数十万年の間、夜間の活動や安全性は、たいまつの火だけが頼りだった。1800年代前半にガス灯が発明され、通りを明るく照らし犯罪を減らすのに役立った。1800年代後半には白熱電球が発明され、永久に照らされた都市が出来上がった。
「もし人工光が何も必要な部分を照らさず、その代わり寝室の窓や夜空を照らしたなら、それは全くエネルギーの無駄です。そのエネルギーを作り出すために、化石燃料が浪費されているのです。」Cheneyは、屋外照明にカサをつけて道路だけを照らすようにすることは、簡単で有効な方法だと考えている。
街明かりは人間にとって居場所を照らしてくれるものだが、人間以外の動物にとっては、道を迷わせる原因になっていることがある。たとえば、渡り鳥の脳には、渡りの方角の手掛かりとなる星の配置が刻みこまれていると言われている。しかし都市の上空を飛ぶ際、彼らはしばしば街明かりによって混乱に陥る。動物学者David Willard氏は言う。「彼らはガラスに映った光を見て、ガラスに突っ込み、激しい衝突で命を落とす。年間10億羽が死んでいるとの推計もある。」
過剰な人工光は、人間の体内のサーカディアンリズムにも影響を及ぼす。疫学者Richard Stevens氏によると、工業化途上国における乳がんの罹患率の上昇と、夜間人工光の下でのシフトワークに従事する女性の数には、関連性を示す証拠が存在する。「数年前、世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関は、夜間シフトワークをほぼ確実な発ガン要因であると発表している。」
照明業界は、自然光に似た照明器具の需要の高まりに対応している。また世界中で、夜空を守り、光害を最小限に抑えるための努力が続けられている。Cheneyは、夜空が守られることに希望を抱いている。「街明かりは快適で、美しい。街明かりと星空が共存できる方法を見つけなければならない。」
http://www.voanews.com/content/city-lights-outshine-stars-obscuring-night-sky/1441908.html
The City Darkウェブサイト
http://www.thecitydark.com/
The City Dark日本公開イベント(エッセンシャルライトジャパンプロジェクト)
http://essentiallight.jp/thecitydark/