2010.4 eHow
都市部に住む人々にとって、「数えきれない星に覆われた夜空」は誇張に聞こえるかもしれない。光害によって、一部の都市では夜空が常に薄明かりに覆われている。光害なんて特に「害」ではない、と考えるかもしれないが、科学者たちは真の闇を失うことは深刻な結果をもたらす、と警告している。
1. 宇宙への関心の低下: 1994年、ロサンゼルス大地震で街が停電になったとき、多くの住民が緊急センターに「奇妙な、巨大な銀色の雲が見える」と連絡してきた。それは、彼らが初めて見た天の川だった。世界人口の10分の1、EUの人々の6分の1、アメリカ人の3分の2が、天体望遠鏡なしで天の川を見ることができない。
2. 視覚への影響: 人工光に多用されている青色光は、他の色よりも目を疲れさせる。青色光は屈折しやすく、物体のまわりにぼんやりと光の雲を作り、焦点を合いづらくする。また青色光の散乱されやすい性質は、夜間の視界を悪化させる(特にお年寄りに対して顕著である)。運転中に視界に入る明るい光はグレアを発生させ、色やコントラストをわかりづらくし、特に高齢ドライバーを危険に陥れている。
3. 体内時計: 自然の明暗による概日リズム(サーカディアンリズム)は、メラトニンの生成、脳波のパターン、細胞制御などに影響を与える。メラトニンは、人体の多くの周期的活動をつかさどっているホルモンであるが、光によってその生成が抑制される。青色光は特にその効果が大きい。睡眠のリズムも人工光の明るさによって乱される可能性があり、睡眠不足はストレス、肥満、うつ、糖尿病をも引き起こす。
4. 野生生物: 夜行性動物は、昼行性である人間の作りだした光環境に最も苦しめられている。渡り鳥は人工光によって困惑し、毎年数百万羽が夜間に光っているビルに激突して死んでいる。たくさんのウミガメの赤ちゃんが、海岸の人工光に惑わされ海ではなく陸のほうに歩みを進めていき、命を落としている。コウモリ、カエル、サンショウウオ、ホタル、その他たくさんの生物が、人工光に苦しめられている。
5. 解決法: IDAは、各家庭の照明の使用法をよく見直すことを勧めている。不要な光は消し、光が必要な場合は覆いをつけることで、光害削減に貢献できる。青色の光よりも、赤色のフィルターの付いた光や、オレンジ色の光を使用する。もし環境への重大なインパクトに関心があれば、光害の啓蒙活動に参加しよう。
http://www.ehow.co.uk/about_6322672_artificial-night-sky-brightness.html