2011.4.29 産経新聞
節電で障害者困惑 暗い駅、止まったエスカレーター
節電のため照明が消えた暗い町について、夜盲症などの視覚障害者の方々から不安の声が上がっている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110429/dst11042923100031-n1.htm
関連サイト(抽出参照元:Yahoo!ニュース)
震災で東京がバリアフル都市になった件(障害者当事者の視点から)
http://togetter.com/li/116287
これらの記事で、初めて視覚障害者の方々の現状、生の声を多く知ることができました。節電(エネルギー問題)、光害(特に地球環境・生活環境への問題)、バリアフリー、いずれにも配慮した照明環境を実現していくことは、とても困難な課題のように思われます。
記事の中で特に、典型的な光汚染源・エネルギー浪費と考えていた「自販機の照明」でさえも、障害者の方の手助けになっているケースがあるという事実には考えさせられました。「光」は想像以上に私達の生活の様々な側面に影響を与えており、良い面も悪い面もあるのです。
とてもすぐに答えが出せる問題とは思えませんが、現時点で管理者が感じていることをいくつか挙げてみます。
(1) まず第一に、視覚障害者の安全確保を。
現在節電対策として照明を減らしている箇所のうち、障害者の方々への配慮が不十分であるためにその安全性に深刻な問題をもたらしている場所については、早急に照度を回復しなければなりません。障害者の方々にも声を挙げていただきたいですし、照明管理者や周囲の人々もこの問題に敏感にならなければなりません。
(2) 照明が周囲に与える影響について、一般の人々に知ってもらう必要性。
世間では節電(省エネ)の側面がクローズアップされていますが、光害の問題、視覚障害者への影響の問題も同じくらい重要です。照明設置者・管理者(公共の場所の照明スイッチを操作する人すべて)には必ず、一般の人々にもぜひ、知ってもらいたい問題です。それがこのウェブサイトの目的ですし、マスコミにも積極的に取り上げていただきたいです。
(3) 「削減すべきは、全く誰の役にも立っていない無駄な照明」ということ。
「照明による電気エネルギーの節約」「光害の削減」 は、全く不必要な照明の消灯、全く無駄な方向に光が漏れている照明器具の改善、によって相当な効果が得られるはずです。そのような照明は依然として町にはたくさんあり、視覚障害者の生活に何ら影響を与えるものではありません。詳細は当ウェブサイトの資料をご覧ください。
(4) 将来の理想的な照明環境について、多方面から十分な検討を。
バリアフリーの町づくりは重要ですが、すべての道路を視覚障害者に安全な照度で照らし続けるのは、明らかに現実的ではありません。健常者が、照明を減らすことの障害者の方々への影響を軽視してはならないのと同様、障害者の方々にも、明るすぎる照明による光害という問題を軽視してもらいたくありません。個人的には、町中の全般照明はやはりこれまでよりも控えめな(諸外国のような)ものにすべきだと考えます。照明環境というハード面だけでなく、障害者の方々を助け合える社会作りといったソフト面の充実も重要かもしれません。